VIEW
DETAIL

0 %

受動的な壁打ちという発見― 無駄話の中にこそ生まれる、考える楽しさ ―

  • FIELD NOTES

DATE . 2025/11/10

受動的な壁打ちという発見― 無駄話の中にこそ生まれる、考える楽しさ ―



こんにちは。二村康太です。
経営のための創造社(ケイソウシャ)という会社で、企業のブランドづくりやMVV(Mission・Vision・Values)策定を支援しています。
単にデザインや言葉を整えるのではなく、「そもそも何のために存在しているのか」という企業の目的を共に掘り起こすところから始めています。


老舗食品商社の社長との3回目の対話

先日は老舗食品商社のリブランディングにあたり、数ヶ月にわたるヒアリングを経て整理した内容を、社長にプレゼンする機会がありました。
これまでに2回お話を伺っており、今回は3回目の接点。
回を重ねるごとに、社長がご自身の考えを深めてくださっているのを感じ、大変嬉しく思いました。

初めの印象は、朗らかで優しい方。
とはいえ、僕たちが「企業の軸を定めるために価値観を深く伺いたい」とお願いしたときは、
「そんなに自分の話が必要なのかな?」という戸惑いもあったように見えました。

しかし、何度も対話を重ねるうちに、やがてご自身の描く未来や、やりたいことを具体的に話してくださるようになっていきました。


壁打ちには「受動的な壁打ち」もある

ここで気づいたのは、「受動的な壁打ち」もあるということです。
一般的に“壁打ち”というと、自分が考えを深めたいときに、相手に話を聞いてもらうことを指します。
けれども、今回のように、相手自身がまだテーマを言語化できていない段階でも、対話を通じて思考が整理され、方向性が見えてくることがあるのです。

今回のケースでは、プロジェクトオーナーである社長が「新しい何かを始めたい」と考えていました。
ただ、その“何か”の輪郭がまだ曖昧な状態。
だからこそ僕たちは、企業の目的がぼんやりしないよう、あらゆる角度からヒアリングを重ね、軸を発掘していきます。


「意見を言わない」ではなく、「種を渡す」

このアプローチは、いわゆる“コーチング”とは少し異なります。
コーチングは相手の中にある答えを引き出すために、あえて自分の意見を言わないスタイルが一般的です。
一方、僕たちは、自分たちの考えやアイデアの種も混ぜながら、たくさんのリファレンスを提供するスタイルを取ります。

それによって、相手の中に新しい発想のきっかけが生まれる。
つまり、「求められていないけれど、いつの間にか壁打ちになっている」状態が自然に生まれるのです。
そして気づけば、そこで話したアイデアが実際にプロジェクトとして形になっていく——そんな瞬間が何度もあります。


社員との面談にも応用できる

この考え方は、経営者や管理職だけでなく、社員との面談にも応用できます。
困っていることや目指したいことを引き出すとき、ただ効率的に質問するだけではなく、
自分の体験を共有したり、共感を示したりしながら“アイデアの種”を渡していく。

そうすることで、相手は「考えることって楽しい」と感じ始めます。
ヒアリングを“作業”ではなく“雑談”のように感じられるように。
気づけば時間があっという間に過ぎていた——そんな対話の場を意識することが大切です。

結局のところ、無駄話が重要なのです。
一見遠回りのようでも、その雑談の中にこそ、人の本音や創造の芽が潜んでいるのです。



企業の軸を見つけることは、理念やビジョンを整えるだけではなく、
組織の中の“考える力”を育てることでもあります。

ケイソウシャでは、こうした「受動的な壁打ち」から
企業の目的と人の想いを共に掘り起こすブランドセッションを行っています。

ABOUT US経営のための創造社私たちの考え方と取り組みを知る

FOR INDIVIDUALSプロデューサー視点自分の目的と仕事をつなぐ学び


関連する記事

記事一覧へ戻る