会議のアジェンダより、“ライブ感”を信じている
- THINKING
DATE . 2025/06/20
最近、自分の仕事を振り返っていて、
「いまの僕の仕事って、ほとんど“会議”だな」と思いました。
自社やクライアントの“やりたいこと”を実現するために、
段取りを考え、キャスティングを行い、体制を整えてオリエンテーションをします。
その後、役割を割り振り、進捗を確認しながらゴールまで伴走していく。
つまり、誰かの想いを具現化するための準備と、日々の対話を積み重ねていく仕事です。
一見すると稼働が少なくてよさそうに見えるかもしれませんが、
実際には上流から下流まで全工程を経験してきたからこそ、判断ができているのだと思います。
若い頃の現場経験が、今の判断を支えています
僕は20代の頃から、現場を離れずに仕事をしてきました。
どちらかというと泥臭く、非効率なやり方も多かったと思います。
でも、その積み重ねがいまの自分の基準を作っています。
「生産性を上げる」という言葉にはいろんな意味がありますが、
若い頃から効率ばかりを求めていても、本質的な判断力は身につきません。
非効率の中でしか得られない実感や、試行錯誤の経験があるからこそ、
いまはようやく「やらないこと」を選べるようになったのだと思います。
アジェンダよりも、会議の“ライブ感”を大切にしています
正直に言うと、僕は「アジェンダ」があまり好きではありません。
もちろん、議題や目的を共有するのは基本ですし、
かつては僕も上司にそう教えられてきました。
でも、あまりにアジェンダに縛られすぎると、
会議が“規定演技”のようになってしまうと感じています。
いまの僕は、「今日決めたいこと」だけを頭に置いて、
あとはメンバーに問いを投げながら、その場で会話を組み立てていきます。
予定通りに進めることよりも、空気の中で生まれてくる発見や決断を大切にしたいと思っています。
メンバーの案は、なるべく世に出したい
僕はいま、アカウントとしても、プロデューサーとしても、
品質管理者としても、ディレクターとしても関わっています。
でも根本にあるのは、「責任者」という立場です。
うまくいっても、いかなくても、それはすべて自分の責任になります。
その中で、できる限りメンバーの戦略やアイデアを跳ね除けずに、
一度は世に出してみる、ということを意識しています。
うまくいかないとわかっているものでも、
あえて出してみることで、自分の力のなさや未熟さを実感できる。
それが、その人にとって何よりの経験になると思っています。
「直してしまう責任」と「任せたい気持ち」
とはいえ、責任者である以上、
品質が一定の水準に達していないものはそのまま出せません。
だから、どうしても自分で手を加えてしまうこともあります。
これはもう仕方がないことだと思っています。
でもその背景には、「本当は任せたい」「挑戦させたい」という気持ちがあります。
メンバーにも、そこはわかっていてほしいです。
上司が品質を整えるのは、信頼していないからではなく、
いまはまだ届かない“基準”を一緒に見せるためなのです。
見るべきは、上司の顔ではなく、お客様の顔
仕事の中でよく伝えているのは、
「上司の顔色をうかがう必要はない」ということです。
気にしてほしいのは、お客様がどう感じているか。
どんな反応をしているか。どこで納得し、どこに違和感を持っているか。
そこに意識を集中させていくことで、
アウトプットの質も、姿勢も、少しずつ変わっていくように思います。
「バイブスが合うかどうか」で決めています
結局、最後に何を基準にしているかというと、
僕は“バイブス”が合うかどうかを大切にしています。
この言葉は抽象的ですが、
たとえば空気感、所作、声のトーンや言葉選び。
その人が醸し出している「何か」が、自分と合うかどうかを見ています。
採用も、プロジェクトメンバーの起用も、
ロジックだけではなく、感情的な部分が大きいです。
理屈ではなく、「なんかいい」「一緒にやりたい」と思える感覚があるかどうか。
そして、その感覚は、きっとお客様にも伝わっていくと思っています。
美学を、勝手に背負っていくということ
僕は、マーケティングやデータ分析を否定しているわけではありません。
でも、それだけに頼っていたら、
「予想通り」のものしか生まれなくなると感じています。
誰かに求められたからつくるのではなく、
まだ誰にも求められていないものに、勝手に美学を注ぎ込む。
そうやって磨き続けた先にこそ、“期待を超える驚き”があるのだと思います。
たとえば、日本の食や道徳、サブカルチャーの中には、
誰が求めたわけでもないのに、細部までこだわり抜かれた表現があります。
美しい盛りつけ、丁寧な挨拶、キャラクターの背景設定。
そのすべてに、“誰かのこだわり”が宿っています。
それらが世界中の人にとって“価値”として認識されていく様子を見ると、
改めて「勝手な美学」こそが、文化を生み出していくんだと思わされます。
ビジネスも同じです。
「求められていないけれど、やりたいこと」に、
どこまで魂を込められるか。
そこにこそ、その人や組織の“輪郭”が現れるのではないでしょうか。
そしてそのこだわりは、会議の中でも現れます。
完璧に整ったアジェンダではなく、
少し揺らぎのある問い、緊張感のある沈黙、予定になかったひらめき。
その一つひとつに、誰かの「美学」が潜んでいる気がしています。
アジェンダを手放して、ライブを信じる
会議は、決められたことを報告する場ではなく、
新しいアイデアや感情が交差する“ライブの現場”です。
だから僕は、アジェンダよりも、その場の呼吸や沈黙、バイブスを信じたい。
段取りよりも、問いを投げることを大切にしたい。
それがいまの僕が、会議という仕事の中で一番大事にしていることです。
“美学”は、求められていなくても宿る。
そんな信念を持ちつつ、今日もまた新しい会議室に入っていきます。
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