事業承継における「志」と「欲」のバランス感覚
- FIELD NOTES
DATE . 2025/07/18
こんにちは、経営のための創造社の二村康太です。
企業のMVV策定やブランド戦略、組織の再構築支援を行っています。
日々の現場での気づきや学びをnoteで綴っています。
創業の想いを辿るためのセッションから
昨日は、新たなクライアントとなった老舗のメディア企業とのキックオフ、
その第一回目のMVV策定セッションでした。
同席していたのは、次期社長である常務、営業や編集のキーマン、役員陣など。
今回は、創業者の目的や原体験を紐解くことを主目的にしており、
その準備として、現会長(創業者のご子息)にお父様の話を聞いてきてもらいました。
原体験は掘れるが、やはり限界もある
しかし、いざ聞き出そうとすると時間も足りず、
当時の心の内まではやはりわかりきれない部分もあります。
また当日は複数名でのセッションだったため、
それぞれが自分の持ち場での議論を活発に行ってくれましたが、
どうしても話の焦点が事業の細部や施策寄りになっていく場面もありました。
あらためて気づいたこと:「次期社長」の動機を掘る必要
その中で、改めて痛感したのは、
これから舵をとる“次期社長の思い”をもっと深掘りすべきだったということです。
もちろん創業者の志や社会的使命感、世直しのビジョンは尊重すべきであり、
引き継がれる文化資産として確実に残すべきものです。
しかしその前提の上で、
「今、誰が、なぜそれを引き受けるのか?」という動機こそ最重要だと感じました。
「志」とともに「欲」も可視化する
次期社長である常務は、創業家の婿としてこの立場を引き受けられた方です。
外から見ればプレッシャーもあるはずですが、それでもなお継ぐと決めた背景には、
理屈を超えた思いや、譲れない価値観、あるいは個人的な欲もあるはずです。
たとえば、
家族に安定した資産を残したい
海外に拠点を移したい
好きなメディアで影響力を持ちたい
そうした「正直な欲」を可視化した上でMVVを設計することが、
これからのリーダーシップ設計においては不可欠だと感じました。
1対1でしか掘れない「本音の動機」
今回のように複数人でのセッションももちろん意義はありますが、
やはり本音に迫るには1対1の対話が必要です。
他の社員がいる場では語れないこと、
表情や語尾に宿るニュアンス
そういったものを丁寧にすくい上げなければ、
MVVは表層的な言葉になってしまいます。
文化と革新の間にある、絶妙なバランス
MVVを策定するにあたり、
引き継ぐべき「信念」や「文化」がある一方で、
時代に合った「目的」や「動機」も必要です。
この“引き継ぐべきもの”と“変えるべきもの”の押し引きのバランス。
これはまさに、事業承継におけるアートだと感じます。
曲げられない信念
変えたくない美学
そして変えるべき仕組み
新たに足すべき目的
このすべてを持ち合わせるには、イニシアティブを取る当事者自身の内面の整理が不可欠です。
まとめ:事業承継は“文化継承”であり“自己実現”でもある
事業承継とは、ただ会社を受け継ぐ行為ではありません。
文化と志を継承しつつ、自分の欲を正直に乗せていく「自己実現のプロセス」でもある。
だからこそ、僕らのような支援者ができるのは、
そのプロセスの設計と、言語化のサポートです。
昨日のセッションを通じて、改めてその重要性を実感しました。
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