そのまま残すという、いちばん難しい選択
- FIELD NOTES
DATE . 2025/09/19
こんにちは。経営のための創造社・二村康太です。
企業のブランディングや戦略設計、Webコンテンツ制作を通じて、
“らしさ”を言語化・可視化するお手伝いをしています。
日々の気づきや視点をこうして文章にして発信しています。
一見さんにも伝わる、あたたかさ
先日、門前仲町にある居酒屋に行ってきました。
昭和の空気をそのまま残した、家族経営の老舗。
創業されたお父様が亡くなり、今は娘さん姉妹が引き継いでいます。
電話での予約も、現地での接客もとても丁寧で、
一見の私たちにも分け隔てなく接してくれました。
料理も美味しく、用事がなくてもこの店のためにまた来たい、
そう思える場所でした。
「そのまま」って、実は一番難しい
この体験で感じたのは、
“そのまま残す”という選択がいかに難しく、価値があるかということです。
僕の実家は築百年以上の古い家で、
子どもの頃は台所が外履き、トイレも外にありました。
特に不便とは思っていませんでしたが、
祖母の死後に台所はフローリングに、
父の一声でトイレも室内に変わっていきました。
今思うと、それは当然の利便性の追求だった一方で、
そのままを残す選択肢があってもよかったのではと感じます。
「リノベーションしなかった価値」
あの居酒屋のトイレは今も和式のまま。
「それはちょっと…」と思う人もいるかもしれませんが、
むしろそれが場の空気を決定づけているのです。
料理の味は、素材や技術だけで決まるものではありません。
雰囲気や、店主の佇まい、器や照明、音、匂い、そうした全てが影響します。
あの店は「手を加えなかったこと」で、
唯一無二の味わいを出していたのだと思います。
デザインしないことも、立派なデザイン
僕らがつい手を加えたくなるのは、
「良くしたい」「直したい」「きれいにしたい」という前提があるから。
でも、意図的に“何もしない”こともまた、
ひとつの強い美学であり、戦略になり得るのだと思います。
あの店のように、時をそのまま残し、
場のエネルギーを保ち続けるという選択は、
今の時代にこそ響く価値なのかもしれません。
自分たちらしさを、残していくために
こうした気づきは、事業や組織づくりにもつながります。
何を変え、何を残すのか。
それを判断するための“らしさ”を言葉にしておくことは、
どんな局面でも力になります。
経営のための創造社では、企業やブランドの“らしさ”を言語化し、
理念や戦略として形にしていくお手伝いをしています。
歴史や物語、空気感を大切にしたいと考える方は、
ぜひ一度ご相談ください。
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