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「組織のカルチャーとコミュニケーションは直結する」フリーランスメンバーが語る心理的安全性における組織の成長 前編|ケイソウシャのコンテンツNO.6

2024.02.27

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時代の流れとともに社会は変化し、また「組織」という存在もその形を変化させてきた。一度はトップダウンの階層構造が主流であった組織形態も、現代では多様性を尊重し、個々の能力を活かすフラットな形へと移行しつつある。その中心にあるのが「心理的安全性」の確保である。

ビジネス然り組織の持続的な成功を実現するためには、トップダウンの一方通行的なコミュニケーションよりも双方向性のコミュニケーションが重要だと考えられている。心理的安全性とは、まさに一人ひとりが自己を開示し、自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態であり、これは創造力を育む土壌や組織全体の成長を推進するための重要な要素だ。

しかし一方で、その実現には組織の文化や規模、リーダーシップ、そして何よりもメンバー一人ひとりの意識が問われるため、実現させようと思うと様々な要素が関わってくることから一筋縄では行かない可能性もあるのではないだろうか。

合同会社経営のための創造社(以下:ケイソウシャ)は、代表のふたむら康太とフリーランスのみで構成されている組織であるため、特にその働き方や意思の疎通において共通認識の確保が課題となる場面が多い。それはコミュニケーションの形状や心理的安全性の確保に向けた取り組みを一層重要なものにしている。

そこで今回は、ケイソウシャがどのように心理的安全性を考え、チームを構築しているのかについて、メンバーによる対談形式でお送りする。理論だけではなく現場の声を通じて、心理的安全性が現実の組織でどのように機能するのかをご覧いただきたい。

対談メンバー

黒岩百香

大学卒業後、専門学校の運営や子ども向け事業の立ち上げ他、映画の製作/宣伝/配給等を経験。クリエイターのサポート・教育を軸に、映像、ファッション、音楽、デザインなど、色んな分野に関わってきたことが自分の財産。愛猫ふわこのことが何よりも大切。夢はねこ雑貨のお店をやること。

後藤愛海

Webディレクターを軸にフリーランスとして活動中。「温度を感じるクリエイティブづくり」がモットー。以前はキャンプWebメディアや不動産Tech企業にて編集企画やPRを担当。今までの経験を活かしてコラム執筆や美容系商品のブランディングにも携わる。好きなものは、食とお散歩、自然のなかにいる時間。最近やっと海の近くに戻ってきたところ。

コミュニケーションは人に感染(うつ)る

ー 心理的安全性について、まずはマーケターの野々さんがご用意してくださった以下の記事を見ていただければと思います。

心理的安全性とは

心理的安全性(psychological safety)は、自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態、特にビジネスシーンにおいては異なる意見を述べても人間関係が損なわれず、拒絶されないと感じる状態を指した言葉です。

この概念を提唱したのは、ハーバード大学のビジネススクールで教鞭を執るエイミーC.エドモンドソン氏で、1999年に発表された論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」で詳しく説明されています。エドモンドソン氏によると心理的安全性は、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されています。

自分の意見を押し殺さず、多少のリスクを取って発言しても、受け入れてもらえるという認識や、のびのびとコミュニケーションを重ねられる気持ちを持てる場所であることが、心理的安全性が確保された組織だと言えます。

ー 記事によると、『心理的安全性は「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されている』とありますが、キーワードとして上がっている”コミュニケーション”について、まずお二人の経験などを含めてお話ししていただいてもいいでしょうか?

後藤愛海 私はこれまでに2社経験していて、最初の会社はベンチャー企業だったんですけど、どうしても殺伐としてしまうタイミングもあって「その空気の中で、皆はどうやって仕事をしているんだろう」って思っていました。

例えば企画を提案する際に、細かい説明やフォローが無いままドライな感じで「はい、それボツ」と言われるような場面があると、オフィス全体にその声が響くじゃないですか。そういう状況だと「また企画部がやってる」みたいな空気が広がって、エンジニアチームやコーポレートのメンバーも同じ空間でリラックスしてコミュニケーションを取るのが難しく感じると思うんです。

ー 確かに。

後藤愛海 特にメディアを取り扱っている会社でしたし、記事の企画やお客様のところへ取材へ行くこともあったので、コミュニケーションは内にも外にも発生する仕事だったと思うんです。なので最初の頃から「私はコミュニケーションって”人に影響を与える”っていう意味で”感染(うつ)る”と思っていて、ここのコミュニケーションのスタイルだと心地よく過ごせないし、新しく入っている人も難しいんじゃないでしょうか」みたいな相談を社長にしていました。

そこで当時、社員のメンバー1人ひとりが好きなことをプレゼンする会が月に1回あったので、コミュニケーションについてプレゼンをしました。その後、翌日からいきなり変わるみたいなのは無かったですが、それでもコミュニケーションについて考えるきっかけにはなったんじゃないかなと自分の中では思っています。なので、割と昔からそういうコミュニケーションについて気にしていたと思います。

黒岩百香 相当色々考えてますね。今、後藤さんが話されていたことって、他の方達はあんまり問題視していなかったんでしょうか?

後藤愛海 同じフロアで働いているとはいえ、他の部署の人達が何か言うのって抵抗があったと思うんですよね。

黒岩百香 大きい組織だとそうなっちゃいますよね。

後藤愛海 そうですね。「(現状のままで)まあいいか」が続くのかなって思います。でも多分「本当は嫌だよね」っていう本音はあったのかなと当時感じました。

黒岩百香 一緒にそこにいると違いますよね。今は、リモートワークも増えてきてると思うんですけど。

後藤愛海 特にオフィスだとそうですね。リモートだとそれこそ見えないので。

黒岩百香 私、結構リモートワークが苦手で。最初に働いた業界が学校(教育)関係だったので、オフィスではなく職員室にデスクがあったので常に気を使って仕事していました。変な顔しちゃいけないし(笑)喧嘩とかネガティブなことも言うと怒られてました。

心理的安全性とは「相槌」、かもしれない説。

黒岩百香 例えばなかなか本心を明かしてくれない生徒さんがいて、「どうやってコミュニケーション取ったら良いかな?」って相談を社内のメンバーにしたとするじゃないですか。でも何かのきっかけで「そういう相談をしてる」ってことがその生徒さん本人に伝わっちゃう可能性もある。そうすると、その子が学校を辞めてしまうかもしれないので、常に接客業みたいな心持ちで気をつけていました。業務内容が事務作業的なこともあって、愛海ちゃんとは対照的に社内のコミュニケーションは問題なかったと感じています。とはいえ、たまに喧嘩とかしちゃいますけど(笑)

ー 環境によってコミュニケーションの取り方がかなり変わりますね。

黒岩百香 その通りだと思います。打って変わって次の会社はオフィスでの仕事だったのですが、コロナ期間ということもあって、社員同士あまり喋らなかったんです。最初の会社は家に持って帰れない環境だったのでリモートワークもしたことなかったのですが、次の会社では家に持って帰って仕事するのが当たり前というか。それどころか、同じ場所にいる時でも直接喋らずにスラックでやり取りするのに驚きました。

文字に残した方がいいからっていう理由で、論理的に進めるにはこれが一番良いんだと思って納得して慣れちゃった自分もいるんですけど、でも本当はちょっと嫌だったんです。心理的安全性っていうか、仲良くやっていないと仕事が上手くいかないというか、嫌われないようにしないといけないって気にしちゃうんですよね。

後藤愛海 なるほど。

黒岩百香 だから二つ目の会社への入社当初は「なんで話しかけてくれないんだろう」とか「なんで話さないんだろう」みたいなのばかり気にして、スラックで無駄にスタンプとか送ってました(笑)私は、皆がどう思っているかよく分からない状況より、皆とおしゃべりできる方が安心できます。

後藤愛海 あ、それは同意です。

黒岩百香 中には皆とおしゃべりする状況が嫌な人もいると思うんですけど、ケイソウシャは割と皆がおしゃべりだからいいんじゃないかなと思ってます(笑)人によっては色々話したくないとか聞かれたくないとか、きっとあるじゃないですか。

後藤愛海 確かにそれはあるかもしれないですね。

黒岩百香 でもケイソウシャの皆は聞かれるのとか話すのとか嫌じゃないってお互いがそこもコミュニケーションが取れているのも大きいし、ふたむらさん自体もすごい喋るし、皆のこともちゃんと聞いてくれるじゃないですか。

後藤愛海 皆に話を振ってくれますよね。

黒岩百香 そうそう。だから皆の声を聞きやすいし、皆がどう思っているか自分が聞き出すんじゃなくて、お互いが会話する中で自然と分かるので安心できます。

ー ケイソウシャの中では、誰が一番話しますか?ふたむらさんでしょうか?

黒岩百香 いや、どうですかね。

ー 例えばふたむらさんがよく話すから、つまり代表がメンバーとのコミュニケーションの機会を頻繁に持つ人だから、いわゆる心理的安全性が高くなるのかなっていう仮説を今持ったんですが、いかがでしょうか?

黒岩百香 それはそうですね。でもふたむらさんって、聞き上手でもあるんですよ。そこも大切な気がしています。中にはカリスマ経営者みたいな感じで、演説型の方もいらっしゃるじゃないですか。

後藤愛海 確かに。

黒岩百香 以前そういうことがあったんです。いい話をすごいしてくださるんですけど、諭される感じで、ありがたい演説みたいになっちゃったんです。そうすると、考えてることが高次元で違いすぎて、こちらから言えることがなくなっちゃうんですよね。ふたむらさんは目線を合わせて話してくださるので、こちら側からも話してもいいんだなって思えるんです。

後藤愛海 ケイソウシャでは特に、話しやすいのもあるけど、こちらの話を聞いてくれるっていう安心感もあるかもしれないですね。ただ合わせて聞いてくれるんじゃなくて、本当にちゃんと興味があって聞いてくれてるんだなって感じます。

黒岩百香 あとは知らなくても「分かりません」って素直に言える環境ですよね。それに加えて、皆ちゃんと意見を持ってる人なんだって感じています。言ったことに対して「じゃあこれはどう?」って聞いてくれたり反応してくれたりするので。やっぱり喋ってて反応が無いと怖いですよね。

後藤愛海 そうですね。それは私もそう思います。

黒岩百香 相槌って大事です。

ー 「心理的安全性とは相槌」という可能性が高いんでしょうか。

黒岩百香 あ、それはあるんじゃないですか。相槌っていっても例えば笑ってくれてるだけでもいいですけどね。ニコニコしてくれるだけでも安心というか、反応があるというか。

後藤愛海 それは本当に思いますね。

黒岩百香 でも居心地が良い組織は、いわゆる”ぬるま湯組織”なんでしょうか。

後半に続く

企画・編集・写真 泡沫コト

7歳の頃から小説を書くことに魅了され、2018年からフリーランスライターとして活動開始。現在はwebライティングをはじめWebサイトや広告などのコピーライティングや、
ゲームやイベント、映像関係などのシナリオ・脚本制作を行なっている。また、小説や詩、エッセイや写真などの表現活動を通して物語やコンセプトの創作にも取り組んでいる。好きなものは珈琲、散歩、温泉、アート、エンタメ全般。これからゲーム配信に挑戦しようとしている。

対談実施場所

Studio HEYA(スタジオ・ヘヤ)

東京・西日暮里にあるキッチン併設のハウススタジオ。
朝も夕も自然光が差し込む2階の南西向きに位置しており、木とアイアンとヴィンテージ家具がバランスよく調和する空間です。
ファッションポートレートや商品撮影、キッチンシーンを取り入れたライフスタイルカット、自然光を活かしたレシピカットなど、さまざまなシーンの撮影に適応できます。

スタジオの詳細が知りたい方はこちらから!(https://heya.lamm.tokyo/

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