観光という名の「無意識の受け入れ」が文化を壊す
- THINKING
DATE . 2025/10/14
こんにちは、経営のための創造社の二村康太です。
企業や個人の“核”に向き合いながら、MVV策定やブランド戦略、言葉の設計などを支援しています。
「オーバーツーリズム」という現象について
先週金曜日、日暮里ゼミナール補講の収録では「オーバーツーリズム」について語り合いました。
この言葉の定義は、以下のようです。
2016年に米メディアSkift社が造語・商標化したもので、日本語では「観光公害」「観光過剰」と訳されます。定義としては、「許容範囲を超えた観光」であり、特定の観光地に観光客が過度に集中することで地域社会や環境に悪影響を与える現象を指します。
それを受け入れたのは“誰か”ではなく“日本”そのもの
確かに、オーバーツーリズムでの問題はありますし、そもそも無条件な受け入れに抗おうとした人もいたのかもしれません。
でも、最終的にそれを受け入れたのは、「日本という国」そのものであり、観光地ではないでしょうか。
「ありがたい」「儲かる」「たくさん来てくれる」「おもてなし」——
そんな空気に乗って、どんどん無防備に扉を開けてきた結果が、今の現状です。
もちろん、すべてのリスクを事前に潰すことはできないでしょう。
でも「どんな人がこの国に合っているのか?」という感覚さえ、語られることのないまま、文化の門は開かれ続けてきたように思います。
採用もしない“誰彼構わず”を、国単位でやってしまっている
この話、企業に置き換えればわかりやすいはずです。
今、ほとんどの企業が「パーソナリティ」「マインドセット」を重視して人を採用しています。
スキルが高くても、理念に共感できない人は一緒に働けないという価値観が浸透している。
それなのに、なぜ“国”という単位になると、誰でもどうぞ、となってしまうのか。
祭りでも町内会でも、よくも悪くも簡単には受け入れない文化があるのに、なぜ国家になると無防備になるのか。
日本には文化がある。だからこそ目的が必要だ
「国に目的なんてあるの?」という声もあるかもしれません。
そして、性善説でうまくいくならば、人類皆兄弟で、好きな場所に住めるというのが理想郷でしょう。
しかしながら、人柄や歴史や道徳観という長い間培われた”括り”があります。
何百年何千年もの歴史の中で守られてきたものがあるならば、それはコミュニティとしての色でありそれは維持することが必要だと考えます。そして、それが“目的”になってもいいはずです。
神道も仏教も天皇も自然も、現代まで残ってきた背景には、
目に見えない「抗い」の歴史があったと思います。
それを外国人に説明しても、理解されないかもしれません。
逆に理解してくれる人も沢山います。
そして、別の国には同じ「抗い」の歴史があります。僕たちが旅行や移住するなら、それを理解しなければいけません。
だからこそ“文化的イニシアティブ”が必要なのだと感じます。
無意識に刷り込まれた行動が文化をつくる
たとえば、日本の子どもたちはこんなことを無意識に身につけます。
車が止まったら、自然と頭を下げる
グラウンドに入る前に一礼する
ゴミを道に捨てないようにする
これらは、学校や家庭、地域社会で“染み付いた”行動です。
それをしない人を見れば、「違和感」どころか「怒り」を感じる人もいるほどです。
つまり、文化とは「行動に染み付いた道徳」であり、後天的にそれを身につけるのは簡単ではない。
リスペクトがない人を、どう制御するのか?
そんな文化に対してリスペクトを持てない人が入ってきたとき、どう制御するのか。
そもそも制御する仕組みすら作ろうとしていないのではないか?
問題の根は「予測しようとしていない」ことにあると思います。
少し未来を見て、最適な落とし所を考えるとか、リスクヘッジをしておくとか、そういった視点がなさすぎる。
頭のいい人たちが集まっているはずなのに…
企業も行政も、優秀な人たちが集まっているはずです。
でも、その人たちの思考に“倫理”や“長期視点”が欠けているとしたら、誰が未来を守るのか?
発想がないのではなく、発想はあっても動けない。
動けないのは、利己的だからか、怯えているからか。
せめて、「良くしたい」という純粋な気持ちで語り合える場所が必要だと、強く感じます。
価値観のすり合わせなしに、共存はあり得ない
国であれ、企業であれ、地域であれ。
「誰でもWelcome」に見えて、実は強い文化的前提の上に成立しているものです。
共に生きるとは、相手に染まることではなく、
自分の文化を明確に持ち、それに敬意を払える人と時間を共有することだと、改めて感じました。
核のある言葉で、自分たちの文化を伝える支援をしています
経営のための創造社では、企業や地域が持つ“核”を言葉にし、
MVVや理念として整え、それを起点にブランディングを行っています。
文化や価値観を共有できる仲間と、本質的なプロジェクトを立ち上げたいと考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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