マガジン

【事例】株式会社共和電業 コーポレートサイトリニューアル ヒアリング編

2023.12.13

新規顧客獲得へ向けた共和電業の製品紹介、企業イメージの認知と向上を目指し、コーポレートサイトのリニューアルと製品サイトの新規制作を行いました。 

「共和電業コーポレートサイト」はこちら
「共和電業製品サイト」はこちら

2年以上の時間を掛けて完成したプロジェクトで、記事ではヒアリングフェーズからウェブサイト制作フェーズ・公開後についてのインタビューの三つに分けてご紹介します。

目的が不明瞭だったスタート。

そもそもは、旧ウェブサイトの保守期間が終了することをきっかけに、リニューアルの検討を余儀なくされた本プロジェクト。やらなければならない時期が来たことがきっかけで始まったこともあり、目的はあるようでない状態から始まりました。

リニューアル目的のために課題を明確化する。

リニューアルせざるを得ない事情でのスタートではあるものの、実際にホームページをリニューアルする意味を、共和電業が抱える課題と紐付けなければなりません。そこで、改めて今回のプロジェクトの目的を考えることが必要になりました。

いま抱えている課題はふたつ。「共和電業という企業の認知不足」と「既存顧客に依存した営業」です。

同社は、創立70年を超える老舗企業でありながら、一般的には広く知られていません。それは営業だけでなく採用課題にも繋がっていました。
もうひとつは、既存顧客に依存していても成立してしまう営業状況です。そのせいで新規顧客の開拓や企業アピールが不十分となり、将来の業績不安につながりかねない状況でした。

これらの課題は俗にいうブランディングで解決するのか、それともマーケティングで解決するのか。似ているようで異なる課題を同時に解決していくには、この両面のアプローチが必要となります。長期的な解決方法としての認知向上につなげるブランディングと、短期的な解決方法としてのB2Bマーケティングを同時に行っていくのは非常に難しく、優先順位を決めなければなりません。そのためには会社自身についてさらに深掘りをしていくことになります。

この時点では、この課題設定が正しいのかという断言はまだできません。

いったい会社は何がしたいのか。まずは会社を知ることから。

そもそも、共和電業の目的は何か。
会社としての最終的な目的はひとつになるはずです。つまりそれは、企業理念やミッション、ビジョン、バリュー(以下、MVV)などのぶれない軸です。次に会社が掲げるMVVをもとにした戦略を策定します。戦略とは、他社と比較してどのフィールドでビジネスをするのか、そのフィールドにいる対象者は誰なのかを明確にすることです。対象者が明確になれば、その人たちに共感を得られる表現や発信内容が決まります。このように対象者は会社の目的に繋がっているべきなのです。

次に重要なのは、期間と目標です。どの程度の期間で何が実現できていればよいか。つまりKPIを決定していくことが必要です。中期経営計画、通年の事業計画、営業や採用などにおけるKPIを設計・確認という流れで定量的な指針を逆算していきます。

これで一定期間における、定性的な面と定量的な面の両方がクリアになりました。
それでは課題に戻りましょう。

会社がしたいことを実現するために、改めて解決すべきことは何か。

課題はふたつ。「共和電業という企業の認知不足」と「既存顧客に依存した営業」でした。そして、共和電業が目指しているのは「計測を通じ、お客様と共に社会と⼈の安全を実現し、安⼼な未来をつくる」というものです。これを実現するために滞っているものが上記ふたつの課題であり、整理が必要になります。
認知不足が解消され、新規顧客とつながり、しっかりとソリューションを提供し続ければ、「計測を通じ、お客様と共に社会と人の安全を実現し、安心な未来をつくる」ことに近づきます。

そこで、継続顧客中心となっている売上構成から脱却し、新規顧客をどのように開拓していくのかという面を解決するために、まずは営業方法についてリサーチしていきました。共和電業は、営業所が全国各地に所在しています。営業方針は各所で決めており、企業の価値観、ノウハウ、歴史、技術力など重要なポイントが浸透しきれていないなど社内でも共通認識にずれが生じてしまっていることが分かりました。

ウェブサイトを閲覧する対象者は顧客や投資家や採用候補者だけでなく、社員も含まれます。実際に社内で起こっている共有不足の解消のためにも今回のリニューアルは重要です。

このような流れで検討していき、今回のリニューアルにおけるメインの目的は、共和電業の価値観(企業姿勢)をはじめ、製品の魅力やサービス品質を改めて、ステークホルダーに伝えることにより、好意度をあげ、結果として業績に寄与させることとしました。

優先すべき課題を決定する。

目的が決まったところで、数ある課題のなかのどれから手をつけていくべきなのかを明確化していきます。

中期経営計画の目標を達成するためにいま優先すべき課題は何か。営業のアプローチや戦略の組み立てなのか、人材不足によって案件が捌けないのか。

結果として、営業戦略を根本から見直すことの重要性が最も高く、営業としてウェブサイトに何が必要なのか、どのようにリニューアルしてウェブサイトに落とし込むべきなのかを考えていくことになります。

前述したとおり「共和電業とは何か」という発信は対外的にはもちろん、対内的にも重要な要素であることがわかっています。旧サイトはコーポレートサイトと商品紹介サイトは同一のサイトでしたが、閲覧するターゲットの層とそれぞれの目的が大きく異なることから、今回のリニューアルをきっかけに分ける形にしました。

ウェブサイトに留まらないヒアリングを経て。

このように、ウェブサイトには一見関係ないように感じられる箇所も含めて、多角的に共和電業にとって必要な要素を見つけ出し、ここから初めてウェブサイトに関係ある課題を洗い出していきました。

これらのヒアリングと課題の分析に基づいて、RFP(提案依頼書)の作成を行い、ウェブサイトの導線から構成、デザイン表現についての検討がようやく始まります。

ウェブ制作段階に入るまでにここまでやることで、お互いの擦り合わせもでき、目的からブレないサイト作りをするための軸が完成します。

続きは、次回の「ウェブサイト制作フェーズ編」にてご覧ください。

「共和電業コーポレートサイト」はこちら
「共和電業製品サイト」はこちら

プロデュース:ふたむら康太 

マガジン