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第5回:見積もりは三方よしの精神で。

2022.01.12

  • 三方よし
  • 営業
  • 見積もり

この連載記事では、『経営のための創造社』代表の二村康太さんと話をしながら、仕事に対する考え方や進め方について深堀りをしていく企画です。 企業の経営者や担当者の方が、この記事を読んだ時に仕事上のヒントになることを散りばめられればと目論んでいます。 第5回目は提案時のクライアントに対する見積もりについての考え方を探っていきます。

連載第4回目ではクライアントへの初回提案について、二村さんの考え方を紹介した。 初回提案では具体的なコンテンツを示すのでなく、考え方や体制などのプロセスを提案し、きちんとクライアントと共有できてから、詳細の提案に進んでいくという『経営のための創造社』の仕事の進め方を紹介した。 第5回目では、クライアントへの提案に対して出す見積もりに関しての『経営のための創造社』の考え方を紐解いていきたい。 「見積もりに関しては、他社と比べて、“高い”“安い”というように往々にして価格比較になりがちです。 しかし、その見積もりにはそれぞれの会社の持つバックボーンが反映されていることを、まずは理解してもらいたいと考えています。 安ければいいわけではありませんし、理由もなく高いというのも問題です。 例えば『いいデザインをするから高いのは当然』という言葉をよく聞きますが、これは半分当たっていて、半分間違いだと思うのです。 いいデザインを作れるということは、それだけ深く考え、アウトプットにも裏付けがあり、表現力も高いということだと思います。 キャリアを積んでいる製作者であれば、人件費の単価が高くなるのも当然です。 一方で、デザインの良し悪しには主観が入るので、クライアント次第で評価も分かれてしまいます。 『こんなデザインなのに高い』等の話を聞くのは、こうした理由によるものでしょう」と話す二村さん。 『経営のための創造社』では、プロジェクトに対して携わるスタッフの単価とかかる日数の掛け算で見積もりを作成している。 ドンブリ勘定ではなく、緻密で理由づけをしっかりとした見積もりを提出し、これに納得いただけるクライアントと仕事をしている。

いい仕事のためには三方よしが大切

お互いをリスペクトし合い、パートナーがしっかり潤った状況であることがいい仕事をするための必須条件だと、二村さんは語る。 「仕事を取りたいがために、安請け合いをしてしまうと仕事のクオリティが下がってしまったり、誰かに余計な負荷をかけてしまうことになり、結局いい仕事にはなりません。 クライアントはもちろん、私たちも、さらに一緒に仕事をするパートナーも3者がハッピーであってこそ、いい仕事ができます。 近江商人の経営哲学の“三方よし”のような状況が理想。 相手の仕事に対しての想像力を働かせられる会社とはいい関係が築き上げられると思います」と話す二村さん。 いい仕事をするためには、プロジェクトに携わる全ての人たちの納得感が大切だということがよくわかる。 次回はミッション、ビジョン、課題について考察する。

奥山泰広

株式会社POW-DER 代表取締役
1968年11月21日生まれ。慶應大学経済学部卒業後、出版社の世界文化社に入社。モノ&ファッションを扱う月刊誌Begin編集部配属され、2000年から編集長を務めました。2006年に退社し、1年間フリーの編集者の経験を積み、2007年11月に編集プロダクション株式会社POW-DERを設立。出版物の編集や広告案件、ファッションやスポーツ、クルマメーカーなどのカタログや広告などを中心に業務展開。現在では大学の広報誌や教育関係の専門誌、さらには企業のWEB制作や動画制作も手掛けています。
http://www.pow-der.jp

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